自宅を建築したり、自宅を購入したときには自己名義にするために不動産登記をする必要があります。
この点については既に多くの方がご存知のはず。
相続が発生したり、遺産分割によって、例えば自宅や土地を取得したときにも登記が必要になります。
そこで今回は被相続人名義の不動産を他の相続人の名義に移す相続登記についてお伝えします。
目次
相続登記とは
まずは不動産登記について簡単に説明すると、不動産登記とは、建物や土地、または地上権を取得したり、不動産に担保権を設定したときに必要になる登記のことです。
そして相続登記とは、相続が発生したときに、相続財産中の不動産を承継した相続人が自己名義にするために必要になる登記のことです。
相続によって不動産を取得したときには、「基本的に」相続登記が必要になります。
相続というと、相続税が真っ先に頭に浮かぶかもしれませんが、相続登記の手続きもすることになります。
一般的に相続登記は「不動産名義の変更」と言われることが多いようですが、厳密には不動産の名義を被相続人から相続人へと「移転」させます。
相続登記は必要か?
結論から言いますと、相続登記をするか否かは相続人の任意です。相続人の意思で相続した不動産について相続登記を申請することも可能ですし、敢えて相続登記をしないという選択肢もあります。
地方の方ですと、相続登記をせずに、長期間、被相続人の名義になっている不動産もあるようです。
ただ首都圏の相続案件のときには、ほぼ必ず相続登記をしています。
相続登記をするメリットは、相続登記をすることによって、相続人がその所有権を第三者に主張することができる点が大きなメリットです。
登記がなければ自己の所有権を第三者に主張することはできません(民法177条)。
相続登記の流れ
相続登記の流れは、次のようなイメージになります。
※ 遺産分割協議は必須ではありませんが、遺産分割協議をすることが一般的です。
相続登記を申請する場合の7つ注意点
次に相続登記を申請する場合の主な注意点を説明します。
- 登記の目的には「所有権移転」と記載する。不動産が共有のときには「甲野太郎持分全部移転」等と記載する。
- 原因日付には、被相続人が死亡した日を記載する。
- 申請人は、相続人の住所及び氏名を住民票のとおりに記載し,末尾に押印する(認印可)。
- 申請人の箇所に、住民票コードを記載した場合は,添付情報として住所証明情報(住民票)の提出を省略することができる。住民票コードを記載しないときには住民票を添付する。
- 申請書の記載事項等に補正すべき点がある場合に,登記所の担当者から連絡するための連絡先の電話番号(平日日中に連絡を受けることができるもの)を記載する。
- 登記原因証明情報として,被相続人の出生から死亡までの経過が分かる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)又は除籍全部事項証明書(除籍謄本)、および相続人であることが分かる相続人の戸籍全部(個人)事項証明書(戸籍謄抄本)も添付する。
- 申請書が複数枚にわたる場合は,申請人又はその代理人は,各用紙のつづり目に必ず契印する必要がある。
- 登記の申請をする不動産を,登記記録(登記事項証明書)に記録されている通りに正確に記載する(一字一句同じ)。
相続登記に必要な主な書類
ここでは相続登記で必要になる主な書類について説明しますが、個別の状況によって必要書類が異なることがありますので、詳しくは司法書士等の専門家に確認することをお勧めします。
- 住民票
- 戸籍謄本
- 遺言書 ※
- 遺産分割協議書 ※
- 固定資産評価証明
- 委任状(司法書士に依頼する場合)
※ 遺言によって不動産を取得したときには遺言書、遺産分割協議によって不動産を取得したときには遺産分割協議書が必要になります。
戸籍については、相続人の戸籍謄本及び被相続人の出生から死亡までの経過がわかる戸籍謄本等の全てが必要になります。
戸籍謄本は慣れていないと解読するのが難解なことがありますし、添付漏れが生じることもありますので注意が必要です。