高齢化社会がますます進行すると認知症になる高齢者の方も必然的に増加するはずです。
認知症とは、wikiによると
認知症(にんちしょう、英: Dementia、独: Demenz)は、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下した状態
のことです。
そこで今回は親族に認知症の方がいる場合の対応策や、成年後見制度についてお伝えします。
目次
認知症の親族をサポートする成年後見制度
親族に認知症のいる方がいらっしゃる場合に限定されるわけではありませんが、認知症の親族を補佐する制度として成年後見制度というものがあります。
この成年後見制度とは、認知症の場合など、自分で財産を管理することが難しいときに本人に代わってまたはサポートして、例えば、認知症の方を支援する制度のことです。
この成年後見制度は、相続人が認知症の場合に限られず、被相続人が認知症の場合などにも利用することができます。
成年後見制度の3つの分類
成年後見制度ですが、この制度を利用する際は、本人の判断力の状態によって、保護者となる者が違います。
具体的には、本人の判断能力の程度によって、次のようになります。
1.判断能力の状態→本人の判断能力が無い場合、本人は成年被後見人とされ→成年後見人が保護者になります。
2.判断能力の状態→本人の判断能力が著しく不十分の場合、本人は被保佐人とされ→保佐人が保護者になります。
3.判断能力の状態→本人の判断能力が不十分の場合、本人は被補助人とされ→補助人が保護者になります。
本人の判断能力 | 本人の分類 | 保護者の分類 |
無い | 成年被後見人 | 成年後見人 |
著しく不十分 | 被保佐人 | 保佐人 |
不十分 | 被補助人 | 補助人 |
このように、成年後見制度では本人の判断能力によって保護者のタイプが3つに分類され(認知症などになっている本人も成年被後見人、被保佐人、被補助人の3つのタイプに分類されます)、この分類によって次に説明するような違いが生じることになります。
成年被後見人・被保佐人・被補助人の違い
繰り返しますが、本人の判断能力の状態によって、成年被後見人、被保佐人、被補助人に分けられ、成年被後見人、被保佐人、被補助人によって自ら行動できる範囲が異なることになります。
例えば、判断能力が無い場合は成年被後見人とされ、自ら単独で遺産分割に参加できなくなり、成年被後見人に代わって、保護者となっている成年後見人が遺産分割に参加することになります。
成年被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 |
日用品の購入その他日常生活に関する行為については単独ですることができる。相続や遺産分割などは単独ですることはできない。(民法9条) | 日用品の購入その他日常生活に関する行為については単独ですることができる。ただし、 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすることや、贈与の申込みの拒絶、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認することなどについては保佐人の同意が必要になる。(民法13条) |
基本的には単独で法律行為をすることができる。ただし相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割など、家裁が定めた特定の一部の行為については補助人の同意が必要になる。(民法17条) |
この図を見てもわかるように、本人の判断能力の状態(判断能力がない・判断能力が著しく不十分・不十分)によって本人は成年被後見人、被保佐人、被補助人のいずれかとなり、自分自身で単独でできるか否かが異なることになります。
認知症の場合は、成年被後見人・被保佐人・被補助人のいずれになるか?
さて認知症の場合は、成年被後見人、被保佐人、被補助人のうちのどのケースに当てはまるか?という疑問が生じるかもしれませんね。
認知症の場合も、その認知症の程度が様々で、重度の認知症なのか、中程度の認知症なのか、軽度の認知症なのかによって、成年被後見人になるのか、被保佐人になるのか、被補助人になるのかが異なることになります。
例えば、法務省webサイトによると、軽度の認知症の場合には被補助人とされた事例があるようです。被補助人とされた場合は単独で遺産分割に参加することができます。
親族や、相続人が認知症になったときには、その判断能力の程度や、本人の行為をどこまで許容できるか等を相続人などの関係者間で総合的に判断・調整したうえで、成年後見制度を活用するか否かを最終判断すべきと言えるのではないでしょうか。