【最新】相続税に関する税務調査の状況は?

相続税改正による、基礎控除額の引下げられるので相続税を申告する人の絶対数は増えると予想されます。

申告する人の絶対数が増えるので、相続税に関する税務調査も増えるはず。

そこで今回は、相続税に関する税務調査の状況を国税庁レポートより抜粋しながら解説します。

この記事で活用しているデータは国税庁が公表している国税庁レポートより抜粋したものです。

相続税に関する課税状況

まずは相続税に関する課税状況から紹介します。これは、発生した相続件数に対してどれくらい相続税が課税されているかを示すものです。

相続税の課税状況について、相続税の改正前の状況を説明すると、相続税の課税割合は約4%でした。例えば、平成24年は相続税の課税割合は4.2%でした。

H24の相続税の状況

H24 死亡者の数 1,256,359人
課税対象となった被相続人の数 52,572人
納税者の数(相続人の数) 147,920人
課税価格 107,718億円
税額 12,446億円

H29の相続税の状況

H29 死亡者の数 1,340,397人
課税対象となった被相続人の数 111,728人
納税者の数(相続人の数) 290,500人
課税価格 155,999億円
税額 20,141億円

相続税が改正されたのは平成27年1月1日からですが、改正後の平成29年の相続税課税割合は8.3%で、平成24年の約2倍になっていることがわかります。

8.3%=課税対象となった被相続人の数÷死亡者の数

因みに改正前の国の試算では、相続税課税割合は4%から6%に上昇すると見込まれていました。

平成29年を見ると、相続税の課税割合は6%どころか、8%台になっています。

相続税の実施調査(税務調査)状況

次に相続税の実施調査状況を確認してみます。この点については、興味のある方が多いのではないでしょうか。

H29の相続税の税務調査の状況

H29 税務調査件数 13,000件
相続税の申告漏れ 11,000件
1件あたりの追徴税額 623万円

相続税の実施調査件数が13,000件なので、相続税を申告した方のうち約12%が(目安として)調査の対象になっていることがわかります。

12%=調査件数÷課税対象となった被相続人の数

相続税の申告をした年に税務調査があるとは限らず、申告の翌年以降に税務調査があることも考えると12%というのはあくまでも目安です。

また調査件数13,000件のうち、約85%(11,000件)が相続税の申告れもがあったこともわかります。

相続税の告発事件

平成30年度ですが、相続税の告発事件の件数は1件のみだったようです。その脱税額は2憶4千万円。

H23の相続税の告発事件

H29 件数 1件
相続税の脱税額 241百万円

例年に比べると、脱税額は若干低かったようです。因みに平成24年度の脱税額は3憶2千万円です。もちろん、告発されています。

相続税に関する税務調査の方法

先日、公認会計士協会が実施した相続税業務研修会に参加してきました。

この研修会で使用されたレジュメには参考になることがたくさん記載されているのですが、ここでレジュメの内容を少しだけご紹介します。

・生前に土地の売却をしているなど多額な資金の移動があった場合には、10年や20年前の古い時期のものでも売却代金が何に使われたか調査されます。

・亡くなる前の5年間ぐらいの期間にわたって引き出した50~100万円以上の金額については何に使ったか質問されます。隠し預金などになっていなかを確認するためです。

相続税の税務調査をする側は、税務署側は調査前に圧倒的な情報量を入手していますので、調査を受ける側は小手先の虚偽は通用しないと考えておいた方が良いかもしれません。

例えば、税務署側からすると、相続人の確定申告の状況を何年にも遡って確認することができます。もしそこで、相続人の収支に異常な変動があると注視されることになるはず。

相続税の税務調査で注目される財産は?

国税庁は、国税庁レポート以外にも毎年「事務年報」というものも公表しています。

そしてこの国税庁が公表する事務年報には(相続税の税務調査に関して)次のような記載があります。

相続税の調査は、高額かつ多額の申告漏れがあると認められるものを中心に、預貯金、有価証券などの金融資産の把握に重点を置いて行った。

この記載は事務年報に毎年記載されていて、特に貯預金については注目されます。

その貯預金で(税務調査の際に)注目される代表格は「名義預金」です。

名義預金というのは、簡単に説明すると、実質的には被相続人の相続財産であるにもかかわらず、形式上は、被相続人の子供などの名義になってる預金のこと。

この名義預金は実質的には相続財産に含まれて課税対象になる財産ですが、子の名義になっているために相続財産に含まれずに申告漏れとなるケースが多くあります。

この名義預金については申告漏れとなると事後的に相続税が発生する可能性が高くなるので、相続人側は特に注意しておきたいところです。

相続税に関する税務調査のまとめ

・相続税の改正によって、相続税の課税割合は4%から8%に上昇した(H29)。

・相続税を申告したなかで、その約10%強が税務調査の対象となった(H29)・

・税務調査対象の約85%は申告漏れが発覚している(H29)。

税務調査の対象になる相続財産の目安は?国税庁公表データを分析