遺産分割と相続による登記の2つの決定的な違いとは?

身内に相続があったときには、相続税申告の有無は相続財産の金額によりますが、遺産分割の手続きや相続登記の手続きは基本的には必須の手続きになります。

相続と遺産分割は似たようなイメージがありますが、手続き的には全く異なります。

ここでは、相続と遺産分割の違いを基にして、相続登記と遺産分割による登記の違いや登記をする際の必要書類の違いについて説明します。

相続と遺産分割の違い

相続とは、被相続人が保有していたプラスの資産とマイナスの資産(負債など)について、相続人が引き継ぐことです。もし相続人が2名以上いる場合には、遺産分割が行われるまで相続人間で相続財産を共有することになります。

この点は簡単にイメージできると思います。

一方、遺産分割とは、相続人が引き継いだ相続財産(例えば、土地や建物、預金など)を誰がどの相続財産を引継ぐかを相続人全員で具体的に決めることです。

この点もイメージしやすいと思います。

遺産分割のポイントは、「相続人全員」でという点です。相続人のうち、1人でも欠いてなされた遺産分割は無効で、なんら意味があります(遺産分割をやり直す必要があります)。

相続と遺産分割を時間的な流れでみてみると、相続が発生した後に遺産分割があるというイメージになります。

相続も遺産分割も被相続人が保有していた財産を引継ぐという点では似ていますが、時間的な順序や、「具体的に」誰がどの財産を引継ぐかという点で異なることになります。

相続登記と遺産分割による登記の決定的な違い

相続と遺産分割は似て非なるものということはご理解して頂けたと思います。

相続と遺産分割は、似てはいるけれども、違うものなので相続を原因として登記をするときと遺産分割を原因として登記をするときには、その手続きも決定的に違うことになります。

具体的に説明する前提として、登記の申請形態の違いについて説明します。

不動産の登記には、単独申請と共同申請という2つの申請パターンがあります。

単独申請とは、例えば、建物を新築したときに新築建物の所有者が単独で登記申請するタイプです。
相続登記を申請するときにも、相続人が単独申請することになります。

相続登記などの単独申請であれば、その相続人が1人で申請することができます。

一方の共同申請とは、例えば、マンションを売買した場合に売買による登記をすることで登記名義を移す売主と新たに登記名義を取得する買主が一緒に登記申請をするタイプです。

登記名義を失う売主と新たに登記名義を取得する買主が共同で登記申請をするので共同申請と言います。

共同申請は、必ず2名以上で登記申請することになります。

遺産分割を原因とする所有権移転登記は、共同申請で登記をすることになります。

まどか

相続登記は「単独申請」で遺産分割による登記は「共同申請」という点で両者には決定的な違いがあります。

相続登記と遺産分割による登記の必要書類の違い

相続登記は単独申請で登記をする、遺産分割による登記は共同申請で登記をするという点は(なんとなく)理解できたと思います。

相続登記は単独申請で、遺産分割による登記は共同申請という点で異なりますので、相続した不動産の登記申請の際に法務局に提出する必要書類も次の図のように異なることになります。

必要書類 相続登記 遺産分割による登記
登記原因証明情報
登記識別情報 ×
印鑑証明書 ×
住民票

このように相続と遺産分割は似てはいますが本質が違いますので、登記申請の形態も異なることになりますし、その違いが必要書類にも表れる点はことになります。

実務上の留意点
相続と遺産分割には、ここまで説明したような登記手続きの違いがありますが、実務的には遺産分割による登記をすることなく、相続登記として処理することがほとんどだと思います。相続による所有権移転登記をする前に、相続人全員で遺産分割協議をし、遺産分割協議後、相続による所有権移転登記をするケースがほとんどだと感じます。
もちろん相続による所有権移転登記後に遺産分割を原因とする所有権移転登記をすることも可能です。登記について詳細は司法書士にご相談下さい。

コスト的な観点で相続による所有権移転登記と遺産分割による所有権移転登記について補足すると、相続による所有権移転登記+遺産分割による所有権移転登記をするよりも、(遺産分割協議後に)遺産分割による所有権移転登記をせず、相続による所有権移転登記をした方が税金が安くなります。

相続による所有権移転登記は登録免許税は0.4%、遺産分割による所有権移転登記の登録免許税は2%です。

ですので、相続後に登記をする場合には(基本的に)遺産分割による所有権移転登記をするのではなく、単独申請で相続による所有権移転登記するという一択だと思います。

まどか

相続登記をする場合の注意点については、下のリンク先で詳しく解説しています。ご興味のある方は読んでみてくださいね。

【保存版】相続登記の手続きとミスしないための7つの注意点