既に他の記事でもお伝えしていますが、相続税改正後の基礎控除額は
3000万円+600万円×相続人の数です。
そして相続人の人数を増やす方法の1つとして、養子縁組があり、養子縁組をすることで子の人数を増加させるという方法も考えられます。
そこで今回は、この養子縁組をするときの7つの注意点についてお伝えします。
養子縁組で失敗すると、せっかくの相続対策が奏功しなくなる可能性があるので、養子縁組する際は是非知っておきたいところです。
相続税法上の養子縁組
上で説明した基礎控除額算定の式から考えると、相続人の人数を増やせば増やすほど基礎控除額が大きくなります。
したがって、養子縁組による養子が増えれば増えるほど基礎控除額が大きくなり、相続税の節税につながります。
ですが、こうした養子の人数を増やすことによる節税を防ぐために、相続税法では養子の数に制限が設けられています。
具体的には、
被相続人に実子がいるときには、相続税の算定上、養子は1人までしか相続人として扱うことができないということです。
被相続人に実子がいないときには、相続税の算定上、養子は2人までしか相続人として扱うことができないということ。
無制限に養子縁組を認めると、養子の数を増やすことで相続税の納税を免れることもできることになるため、相続税を算定するうえでは養子の数は制限されることになっています。
養子の人数は(あくまでも相続税を算定するうえで)実子がいるときには養子は1名まで、実子がいないときには養子は2名まで基礎控除額を算定する際の相続人に含めることができます。
養子縁組の際の注意点
ここまでは相続税法的な視点で養子縁組について説明しましたが、ここからは民法的な視点で養子縁組についてお伝えします。
養子縁組をするにもルールがあり、ムヤミやたらに縁組をして良いわけではありません。
養子縁組をする際のチェック事項を列挙します。
養子縁組7つの注意点 |
養親となる者は成年者でなければならない |
養子となる者は、尊属または養親より年長者でないことが必要 |
後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない |
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、原則として配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は共同で養子縁組をする必要はない |
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合や配偶者がその意思を表示することができない場合は同意は不要 |
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は家庭裁判所の許可は不要。 |
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人(親など)が、養子に代わって、縁組の承諾をすることができる |
養子という言葉はよく耳にすると思いますが、養子縁組の仕組みを完全に理解されている方は意外に少ないかもしれません。
養子縁組をすると(当然)養親と養子の間には親族関係が生じることになります。ですので、養親が他界すると養子が相続人となって養親の相続財産を相続することができます。もちろん上で説明した基礎控除額を算定するうえでの制限は受けることになります。
ただ養子縁組をしても、実の親(実親)との親族関係が終了するわけではありません。ですので、養子縁組をしても、その養子は養親の相続人になることができることはもちろん、実親の相続人にもなることができます。この点は是非、知識として知っておいて欲しいところです。
特別養子縁組の場合には実親との親族関係も終了してしまいますので、普通養子縁組の場合とは違いがあることも知識として知っておいて欲しいところです。
養子には、普通養子と特別養子の2つのタイプがあることは上の補足で少しだけお伝えしましたが、普通養子縁組と特別養子縁組の違いについては下のリンク先で解説しています。