【要確認】相続登記と抵当権抹消登記の申請方法の要点

戸建てや、マンションなど住宅を購入するときには一括で購入できる方は少数派かもしれません。

ほとんどの方は、住宅ローンを組んでご自宅を購入しているのではないでしょうか。

ローンを組むということは、建物や土地に抵当権(担保権)が設定されているはず。

このとき不動産の名義人に相続が開始すれば、相続登記と同じタイミングで抵当権の抹消登記をするということも珍しくありません。

ここでは相続が発生したときの相続登記と抵当権抹消登記について説明します。

   目次

相続登記と抵当権抹消登記を申請する順番

相続登記と同じタイミングで抵当権抹消登記をするときには、どちらを先に申請するかという点が1つのポイントになります。

「基本的に」登記は、登記原因が発生した順序で申請します。

ですので、抵当権の債務の消滅前に相続が発生していれば、相続登記を先に申請し、その後に抵当権抹消登記を申請します。

逆に、相続よりも抵当権の債務が先に消滅していれば、抵当権抹消登記を先に申請し、その後に相続登記を申請します。ただ相続登記が完了してしまっていることがあります。この時は後から抵当権抹消登記を申請することになります。

相続登記と抵当権抹消登記の申請順序については、リンク先で詳しく説明しています。

【要注意】相続登記と抵当権抹消登記を同時申請するときの順番

団信とは?
ご存知の方は多いと思いますが、保険に団信というものがあります。正式名称は、団体信用生命保険。団信とは、住宅ローンの返済中に債務者が亡くなったとき等には、保険金により残りの住宅ローンが弁済(完済)される保障制度のこと。この団信によって、住宅ローンが完済された場合には、相続開始後に債務が完済されることになりますので、まずは相続登記を申請し、その後に抵当権の抹消登記を申請することになります。

相続発生後に抵当権の債務が消滅したとき

相続開始後に、団信などによって抵当権が消滅したときには、先に相続登記をして、その後に抵当権抹消登記を申請します。

相続登記については、その不動産を承継した相続人が申請することになります(単独申請)。

相続登記に必要な添付書面については、リンク先でご確認ください。

【図解】相続登記の必要書類と間違いやすい書類

そして相続登記の後に抵当権抹消登記を申請することになります。

抵当権抹消登記は、抵当権者を登記義務者とし、その不動産を承継した相続人を登記権利者として両者で一緒に申請します(共同申請)。

単独申請と共同申請
登記申請には、単独申請と共同申請の2つの申請形態があります。
単独申請とは、例えば相続登記など、登記名義を取得する者が単独で取得する申請形態です。共同申請とは、例えば抵当権抹消登記や不動産の売買による所有権移転など、登記権利者と登記義務者が一緒に申請する申請形態のことです。
ちなみに、登記権利者とは、その登記をすることでメリットを受ける人のことで、登記義務者はデメリットのある人のこと。例えば、抵当権抹消登記は、抹消登記をすることで抵当権者は抵当権の登記を失うというデメリットがあります。不動産の所有者は、抵当権の登記が抹消されるというメリット(担保権の負担が解消されるというメリット)があります。相続登記と違って、抵当権抹消登記は登記権利者と登記義務者が一緒に申請することになります。

抵当権抹消登記の必要書類

抵当権抹消登記の必要書類
・登記原因証明情報
・権利証(または登記識別情報)
・委任状

登記原因証明情報については、金融機関などの抵当権者側から入手することがほとんどですが、保証会社等が相続人側に登記原因証明情報の作成を依頼することがあります。

このときは相続人側で登記原因証明情報を作成することになります。

登記原因証明情報とは
登記原因証明情報とは、例えば、抵当権の債務の弁済や、不動産の売買など、登記の原因となった(法的)事実を記載した書面で、登記義務者が押印した書面のこと。不動産登記では、登記原因証明情報の添付を求めらられることが多くあります。

抵当権の債務消滅後に相続が発生したとき

不動産登記は登記原因(弁済による抵当権の消滅や相続など)の発生順に申請するのが原則ですので、相続発生前に被相続人の負担していた債務が消滅していれば、相続登記前に抵当権抹消登記を申請することになります。

ただ抵当権抹消登記前に相続登記が完了していることもあります。そときには、相続登記の名義人を登記権利者とし、抵当権者を登記義務者として抵当権抹消登記を申請します。

注意
例えば、旧第一勧業銀行や富士銀行系など、金融機関が合併・再編を繰り返した結果、登記簿上の抵当権者と現在の抵当権者の名義が異なることが珍しくありません。このようなときは抵当権移転登記も必要になるなど、(慣れていない方にとっては)あまりにも複雑すぎることになりますので、司法書士に依頼した方が間違いないでしょう。