【要確認】相続登記と抵当権抹消登記を同時申請するときの順番

相続が開始すると、故人が所有していた土地や建物の不動産について名義変更の登記が必要になることはほとんどの方がご存知のはず。

実際に、相続人の方から相続登記の依頼は多くあります。

しかし、相続登記をして不動産の名義変更だけをすれば済むということではありません。

相続登記と同時に、抵当権の抹消登記を申請する必要があることもあります。相続登記と同時に抵当権の抹消をする際は、ただ単に同時に申請すれば良いというわけではありません。

相続登記と抵当権の抹消を同時に申請すると、法務局から補正(修正)依頼が入り、申請人側としては手間が増える結果となります。

ここでは相続登記と抵当権(担保権)抹消登記を同時に申請する際の順番や注意点についてお伝えします。

相続人の方は、まずは不動産登記簿の状況を確認して、抵当権が設定されている不動産か否かを事前に確認しておきましょう。

   目次

相続登記とは

相続登記とは、相続開始後に故人が所有していた土地や建物の不動産の登記名義を相続人に変更する手続きのこと。

相続人が複数いたとしても、相続登記はその不動産を相続した相続人が申請します。ただ実際は、ほとんどの相続人は司法書士に依頼して登記をしていると思います。

いずれにしても被相続人名義の不動産の登記名義はその不動産を相続した相続人に変更することになります。

【保存版】相続登記の手続きとミスしないための7つの注意点

MEMO
相続登記を司法書士に依頼するメリットは、次のような事情があるからだと思います。
相続登記にあたって提出する戸籍謄本の解読は、馴れていないととても理解(解釈)しづらいうえに、どの範囲の戸籍謄本を収集すれば良いか相続人ご自身では判断が難しいという事情があります。また自ら作成した遺産分割協議書等に不備があると事後的にトラブルが発生し、トラブルに伴うコストが司法書士に支払うコストよりも高くなる可能性が十分にあるという事情もあります。

抵当権抹消登記の必要性

相続人が相続した不動産の登記簿を見ると、抵当権が設定されていることは珍しくありません。

これは例えば自宅を購入する際にローンを組んだときや、自宅を建築した際の借入の担保として抵当権を設定したケースがほとんど。

いずれにしても故人の自宅やその土地には抵当権が設定されているケースはよくあります。

そして相続登記の申請の際に、既に故人が負担していたローンの完済が済んでいれば、合わせて抵当権の抹消登記も申請する必要があります。

相続登記と抵当権の抹消登記をする際には、この2つの登記の順番が非常に重要になりますし、順番を間違えると登記申請書そのものを間違えることになりますので(間違えて申請すれば)ゼロからやり直しということになり、手間が増えることになります。

相続登記と抵当権抹消登記の申請順番は?

すでにお伝えしたように相続登記を申請するときには、合わせて抵当権の抹消登記の申請が必要なこともあり、その際には2つの登記の順序がとても大切になるということはなんとなくわかって頂けたと思います。

それでは相続登記と抵当権(根抵当権を含む担保権)の抹消登記の2つの登記の申請順序をどうするかということになりますが、その判断基準はとてもシンプルです。

その判断基準とは、「基本的には」故人が負担していた債務の消滅が相続開始の前か後かという点で判断します。

  • 相続登記と抵当権抹消登記の申請の順番は、債務の消滅が相続開始の前か後かで判断する。

債務の消滅が相続開始前ならば、抵当権の抹消登記は相続登記の前に申請します。

債務の消滅が相続登記の後ならば、抵当権の抹消登記は相続登記の後に申請します。

ですので、債務の消滅が相続開始前ならば、1件目は抵当権の抹消登記を申請し、2件目で相続登記を申請します(ただ、もし抵当権の抹消登記前に相続登記をしてしまっているときには、相続登記の名義人を登記権利者として抵当権の抹消を申請することもできます)。

債務の消滅が相続開始後ならば、1件目は相続登記を申請し、2件目で抵当権抹消登記の順序で申請します。

団信
ご存知の方は多いと思いますが、保険に団信というものがあります。正式名称は、団体信用生命保険。団信とは、住宅ローンの返済中に債務者が亡くなったとき等には、保険金により残りの住宅ローンが弁済(完済)される保障制度のこと。この団信によって、住宅ローンが完済された場合には、相続開始後に債務が完済されることになりますので、まずは相続登記を申請し、その後に抵当権の抹消登記を申請することになります。

相続登記と抵当権抹消登記の申請人

次に(補足として)相続登記と抵当権抹消登記の申請人について説明します。

まず相続登記は、相続で不動産を承継した相続人が申請します。

相続登記は、抵当権の抹消登記と違って、登記申請人が登記権利者と登記義務者という共同で申請をする形態をとりません。ですので、登記申請書には、登記権利者と登記義務者という文言は記載されません。

登記権利者と登記義務者の共同による申請形態ではなく、相続人のみで申請する申請形態を単独申請といいます。相続登記は単独申請です。

抵当権抹消登記の申請人は、抵当権者を登記義務者、不動産の所有者を登記権利者として共同で申請します。相続登記と違って、共同で申請するので、共同申請といいます。

登記権利者と登記義務者とは
登記権利者とは、その登記をすることでメリットを受ける人のことで、登記義務者はデメリットのある人のこと。例えば、抵当権抹消登記は、抹消登記をすることで抵当権者は抵当権の登記を失うというデメリットがあります。不動産の所有者は、抵当権の登記が抹消されるというメリット(担保権の負担が解消されるというメリット)があります。ですので、抵当権の抹消登記では不動産の所有者が登記権利者となります。

相続登記と抵当権抹消登記の補足

ここまでは相続登記と抵当権抹消登記の申請順序についてお伝えしました。

実際に登記を申請したことがないとイメージしづらいかもしれませんので、登記の順序について補足します。

1件目で相続登記、2件目で抵当権抹消登記であったり、またはその逆の順序で登記を申請することもありますが、これは1件目の登記が完了してから2件目の登記を申請するという意味ではなく、登記(申請書)に順番を付して同時に法務局へ提出するという意味です。

ですが、1件目で相続登記を申請してその登記が完了してから、2件目の抵当権の抹消登記を申請するというやり方もありますし、この方法でも決して間違いではありません。

登記実務上、司法書士事務所が申請するときには、(法務局がわかりやすいように)登記申請書に順番を付して、相続登記と抵当権の抹消登記を同じタイミングで法務局に提出することの方が多いように思います。

まとめ:相続登記と抵当権抹消登記

相続登記と抵当権(担保権)抹消登記の申請順序は、「基本的には」債務の消滅が相続開始の前か後かで判断する。

※ 抵当権抹消や相続登記の必要書類、注意点については下のリンク先で説明しています。

実際に相続登記と抵当権の抹消登記を申請するにあたっては、金融機関や保証会社と書類のやり取りをする必要がありますので、司法書士に依頼した方がスムーズに進みます。詳しくはお問い合わせください。

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