【要確認】戸籍謄本の取得方法と相続手続きを円滑に進める秘訣

相続登記を申請するときにはもちろん、公正証書遺言を作成するときなどは戸籍謄本を用意する必要があります。

ここでは戸籍謄本の取得方法や取得の際の注意点、戸籍謄本に関連して、相続手続きを円滑に進めるための秘訣について、事前に知っておくべきことをまとめました。

   目次

戸籍には誰のどんなことが記載されるか?

まず戸籍謄本(戸籍抄本や除籍謄本を含む、以下同じ)を取得する大前提として、誰のどんなことが記載されているかを知っておく必要があります。

戸籍にはどんな事項が記載される?

戸籍には次のようなことが記載されます。

記載事項
  • 出生、死亡
  • 結婚、離婚
  • 親子、養子関係

戸籍では個人の出生から死亡までの間の大きな流れを確認できますので、戸籍謄本を見れば、その人の人生を概ね理解することができます。

戸籍には誰が記載される?

日本の戸籍の特徴は、「夫婦とその夫婦の氏を同じくする未婚の子」が記載される点にあります。

ですので、基本的には家族単位で戸籍が編製され、家族が戸籍に記載されています。

家族単位で戸籍が編製されるので子供が結婚すると親の戸籍からは外れ、新しく戸籍が編製されます。

兄弟が結婚すると、それまでの戸籍から外れ、各々の戸籍に記載されることになり、兄弟は同じ戸籍に記載されることはなくなります。

MEMO
旧戸籍は3世代以上記載のある戸籍もあります。なぜなら旧戸籍では「家」制度を重視していたためです。

戸籍謄本を取得できる人は?

戸籍謄本は、誰が取得できるのか疑問に思われる方も多いはず。誰でも戸籍謄本を取得できわけではありません。

特に最近は個人情報の管理が厳しくなっているので、取得するときには本人確認が必須となっています。

戸籍謄本は自分自身が取得できるのはもちろんのこと、同じ戸籍に記載されている者またはその配偶者、直系尊属や直系卑属が戸籍謄本を請求できます(※)。

(結婚などで新たに戸籍を編製している)兄弟姉妹が相続人になるときには、(※)にあたらないために戸籍謄本の請求はできませんが、例えば次のような理由を示せば戸籍謄本を請求することができます。

兄弟姉妹が戸籍を取得するときの理由
  • (婚外子などが)他の相続人に対して相続分を主張するとき
  • 相続登記などで必要なとき

代理人が戸籍謄本を取得する

戸籍謄本は代理人でも請求することができます。

代理人が戸籍謄本を取得するときには委任状が必要ですが、その委任状については市区町村で委任状フォーマットを用意していることがありますので、請求先の市区町村へ確認することをお勧めします。

職務上請求
弁護士や司法書士、税理士など特定の専門職は、委任状なくして職権で戸籍謄本を取得することができます。これを職務上請求と言います。ただ司法書士等の専門家が職務上請求をするときにも、どんなときでも請求できるわけではなく、相続登記で使用するなど、戸籍謄本を請求できる場面が限られています。
ご自身で戸籍謄本を収集することが難しいときには、司法書士等の専門家に依頼した方が早いと思います。

戸籍謄本を取得できる場所は?

戸籍謄本は本籍のある市区町村の区役所等で取得します。ただし転籍(本籍の変更)していることがあるので、本籍が変更しているときには、変更前の市区町村の区役所等で取得することになります。

婚姻などで本籍地が変更になっているときには、1か所の市区町村ですべての戸籍謄本を取得できるとは限りませんので注意が必要です!またコンビニで戸籍謄本を取得できる市区町村もあります。コンビニで取得できるかどうかについては各市区町村へ事前にご確認ください

戸籍謄本を取得する方法は?

戸籍謄本を取得するときには、本籍地の区役所等の窓口まで足を運ぶ方法があります。

ですが、すぐ近くに区役所等があればいいのですが、そうとも限りませんし、窓口が混んでいることもあります。23区の区役所ですと、混雑時は戸籍謄本の取得に30分から1時間かかることがあります。

また高齢者の場合には、戸籍謄本を取得するために窓口まで足を運ぶのが大変という現実もあります。

こうしたときには、郵送で戸籍謄本を取得する方法をお勧めします。

経験則からお伝えすると、東京在住の方が地方(本州)にある市町村へ郵送で戸籍謄本を取得するときには、早ければ1週間でお手元に戸籍謄本が届きます。

本州よりさらに遠方の市役所に郵送で戸籍謄本を請求するときには、お手元に到着するまで1週間以上がかかります。

戸籍謄本を取得するときの必要書類は?

戸籍謄本を取得するときには戸籍謄本請求書以外に、例えば、次のような書類が必要です。

本人確認書類の例(1点で良いもの)
運転免許証
マイナンバーカード(個人番号カード)
パスポート
住基カード(写真付き)
本人確認書類の例(2点必要なもの)
健康保険証
年金手帳
後期高齢者医療被保険者証

本人確認書類の基本的な考え方として、免許証やマイナンバーカードなど写真付きのものは1点で良いのですが、保険証や年金手帳など写真付きではないもの2点提示して本人確認をする必要があります。

※ 郵送で戸籍謄本を取得するときは、本人確認書類はコピーでOKです。

戸籍謄本を取得するときの費用は?

戸籍謄本はもちろん無料で取得できるわけではなく、費用がかかります。戸籍を取得するときの費用は次の通りです。

各証明書 手数料
戸籍謄本・抄本 450円/通
除籍謄本・抄本 750円/通
改正原戸籍謄本・抄本 750円/通

補足になりますが、手数料を定額小為替で納付するときに、その定額小為替に「指定受取人」という欄がありますが、ここは未記入で構いません。

転籍と除籍

ここからは戸籍に関しての補足説明ですので、ご興味のある方のみご確認ください。

転籍

転籍とは、本籍を移すことです。本籍については、日本国内であれば、現住所と関係なく、自由に定めることも移転させることもできます。

除籍

除籍には、全部除籍と一部除籍があります。

全部除籍とは、戸籍に記載されていた家族全員がいなくなってしまった戸籍のことで、一部除籍とは、婚姻や死亡によってその戸籍から外れること。

一部除籍のときには、婚姻や亡くなった方だけがその戸籍から外れることになります。

相続手続きを円滑に進める秘訣

最後に、戸籍謄本に関連して、相続手続きを円滑に進めるためのコツについてお伝えします。

戸籍謄本を取得するのは、相続手続きの一環として取得するケースが多いと思います。

相続手続きの一環として戸籍謄本を取得するときには、「少し多め」に戸籍謄本等(部数)を取得することをお勧めします。

戸籍謄本は、各銀行や、法務局、税務署等にも提出する必要があるからです。

法定相続証明情報の利用について

法定相続情報証明制度とは、被相続人の相続関係の一覧表に、法務局(登記官)が認証文を付した書面のことです。

この法定相続証明情報を利用すると銀行手続きや、保険金の手続きなどで戸籍謄本一式を提出する必要がなくなるため、事務的な負担がかなり軽減されます。

法定相続証明情報の詳細についてはリンク先で確認お願いいたします。

法定相続情報証明制度とは?メリットと相続登記に役立つ利用のコツ

法定相続証明情報を利用するときでも戸籍謄本は「若干」多めに取得することをお勧めします。

法務局による法定相続情報の作成が完了する前に、戸籍謄本が必要になることがありますし、相続税の申告期限が迫っていると、法定相続情報の完了を待たずに手続きしなければならないこともあるからです。

以上、戸籍謄本の取得方法に関してお伝えしましたが、戸籍謄本の取得には時間と労力がかかります。

高齢者の方にとって、戸籍謄本の取得はかなり負担になると思いますので、司法書士事務所等に依頼するのも選択肢の1つになると思います。