被相続人の遺産を相続したくても、なんらかの事情で相続できない理由があるはず。例えば、被相続人が多額の資産を保有していても、それ以上に借金が多いこともあります。
ここでは相続放棄の手続きの流れや、相続放棄する場合に準備すべき必要書類、相続放棄をする場合の注意点について説明します。
目次
相続放棄とは
相続放棄とは、相続人としての地位を放棄することです。
相続が発生すると相続人は被相続人が保有していた財産や負の財産を承継することになります。ですが、相続人が相続放棄すると相続人ではなくなるので、被相続人が所有していた財産だけではなく、負債も承継することがなくなります。これが相続放棄です。
民法上は相続放棄について、
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
とされています。
相続して多額の負債を承継し経済的に厳しくなる場合には、相続放棄をした方が良いケースがあることは否定できませんし、状況によっては相続放棄をした方が良い方も実際にいらっしゃいます。
タイムラインでわかる相続放棄の手続き
相続放棄をすると被相続人の財産だけはなく負債も承継する必要がないことは理解して頂けたと思います。
それでは次に相続放棄の手続きについて、タイムラインで説明します。
このタイムラインからもわかるように相続放棄の手続きが完了するまでは、相続開始から概ね4か月です。
相続放棄の手続きで必要となる必要書類
相続放棄は、言うまでもなく相続人がすることですが、配偶者や子など、相続放棄をする人によって相続放棄の際に家裁に提出する必要書類が異なります。
まずは相続放棄に共通する必要書類は次の通りです。この共通書類は、配偶者や子、父母など、誰が相続放棄する場合でも必要です。
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 放棄する方の戸籍謄本
以上の2点は、誰が相続する場合でもすべてのケースで必要になる書類です。
次に、相続放棄をする人ごとに準備すべき必要書類について説明します。
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 代襲者が相続放棄するときには、被代襲者(代襲者の親など)の死亡の記載のある戸籍謄本
- 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
- 被相続人の子が死亡しているときには、その子の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
※ 相続放棄申述書をダウンロードできます。
相続放棄と税務上の相違点
最後に民法上の相続放棄と税法上の相続放棄の相違点について補足します。
冒頭で説明したように、相続放棄すると(民法上は)初めから相続人ではなかったことになります。
例えば、配偶者と子2人のうち、子1人が相続放棄をしたとしても相続人の人数は3名としてカウントします。よって基礎控除額は4,800万円となります。
相続放棄に類似したものとして限定承認という制度があります。この限定承認は相続財産の一部だけを相続するという制度です。限定承認の詳細については、次のリンク先で詳しく説明しています。ご興味のある方は、是非、ご一読ください。