実際に納付する相続税を算定するときには相続税額から控除できるものは、控除項目として7つあります。例えば、控除できる項目として未成年者控除や配偶者の税額軽減などです。
今回は、相続税額から控除できる7つの項目(算定された相続税額を更に減額させる項目)について説明します。
7つの控除項目を確認する前に、相続税算定の大まかな流れについておさらいしたい方は次のリンク先をお読みください。
相続税選定の大まかな流れをイメージできた方が、この記事の内容を深く理解できると思います。
目次
1.贈与税額控除
被相続人の相続開始前3年以内に贈与された財産がある場合には、その贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算することになっていますが、その贈与財産については既に贈与税を納付しています。
また贈与された財産を相続財産に加えて算定した相続税には、その贈与財産にかかる税金も含まれています。
既に贈与税を納付している(贈与)相続財産について相続税も支払うとすれば、税金を二重に納付したことになってしまい、相続人にとっては過度の負担となってしまいます。
そこでこうした二重課税防止の観点から、既に支払った贈与税額を相続税から控除することができます。
これを贈与税額控除と言います。
2.配偶者の税額軽減
配偶者の税額軽減制度とは、被相続人の配偶者が相続により取得した相続財産については、一定の金額までは配偶者に相続税はかからない制度のことです。
配偶者はこの税額軽減制度で、相続税を減額することができます。
配偶者の税額軽減の具体的な計算例やメリット、デメリットについてはリンク先で詳細を確認できます。
3.未成年者の税額控除
相続人が未成年者のときは、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円を控除することができます。これを未成年者の税額控除と言います。
- 未成年者控除額=10万円×(20歳ー相続開始時の年齢)
未成年者の税額控除によって、上の計算式で算定した金額を相続税から控除することで納付税額を減額することができます。
4.障害者の税額控除
相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引くことができます。これを障害者の税額控除と言います。
- 一般障害者控除=10万円×(85歳ー相続開始時の年齢)
- 特別障害者控除=20万円×(85歳ー相続開始時の年齢)
障害者の税額控除によって、上の計算式で算定した金額を相続税から控除することで納付税額を減額することができます。
5.数次相続控除
短期間に相次いで相続が発生すると、何度も相続する人にとっては税負担が重くなります。
10年以内に2回以上相続があった方は、この数次相続控除を忘れずに納税額を計算する必要があります。
6.外国税額控除
相続・遺贈によって国外にある財産を取得した場合、その国外財産について相続税が課税されることがあります。この国外財産について日本国内でも課税されると二重課税になってしまいます。
こうした二重課税の問題を回避するために、相続税の計算上、一定の金額を控除することができます。これが外国税額控除という制度です。
海外にも財産のある富裕層の方であれば、この外国税額控除を利用することもあるかもしれませんが、それ以外の方の場合にはこの控除制度を活用することはないはずですので、それほど気にする必要はないでしょう。
富裕層の方は、この外国税額控除を忘れないようにすべき。
7.相続時精算課税制度の贈与税額控除
相続時精算課税制度とは贈与された財産は2500万円までは非課税になる制度のことで、それを超える場合は一律20%課税するという制度のことです。
相続時精算課税制度を利用し、その財産に贈与税が課税されている場合には、相続税額からその贈与税額を控除することができます。
※ 現在はこの相続時精算課税制度の利用件数は少ないと言われています。
相続時精算課税制度の詳細については次のリンク先の記事で解説しています。
まとめ
以上、相続税額を減額する7つの控除項目についてまとめました。
いったん計算した相続税も、ここで説明した控除項目があれば実際に納付する相続税額はさらに減額することになります。
相続税の申告ソフトなどを活用すれば、この控除項目で計算漏れすることは少ないのですが、申告ソフトを利用せずご自身で申告する場合にはここで説明した控除項目でミスすることも考えられます。
ですので、自分がどの控除項目を活用できるかについては知っておく必要がありますし、ご自身で申告しば場合の計算漏れ等による申告ミス、ミスを修正するための手間などを考えれば、結局は税理士に依頼した方が安上がりではないでしょうか。