【要確認】相続対策のために絶対知っておきたい7つのキホン

ご存じのように相続税が改正され、2015年1月1日以降より相続税の税率や基礎控除が引下げられました。

この点については、数多くの新聞紙面や、ネットメディア、雑誌などでも特集が組まれています。

相続税の税率や基礎控除の引下げなどは、今さら説明することでもないかもしれませんが、おさらいという意味で、相続税改正の基本的な事項について具体例を用いて説明します。

   目次

相続税改正の注目点は税率の変更と基礎控除額の引下げ

相続税の改正の注目点は税率の改正と基礎控除の引下げにありますが、改正内容をおさらいする前に、まずは相続に関する最も基本的なことをまとめます。

相続税の申告が必要な人は?

まず、そもそも相続税の申告が必要な人は次のような人です。

正味の遺産総額 > 基礎控除額

正味の遺産総額が基礎控除額を超えていれば、相続税の申告が必要になります。逆に言えば、正味の遺産総額が基礎控除額を超えていなければ相続税の申告をする必要はないということです。

このことに関連して、国税庁が相続税の申告要否がわかる簡易判定シートを公表してます。

3つのステップで相続税申告の有無が簡単にわかる簡易判定の仕方

誰が相続人になるのか?相続人の順位

相続が発生したときには、次の順位で相続人になります。

相続人の順位
第1順位 子(代襲相続あり)
第2順位 直系尊属
第3順位 兄弟姉妹(代襲相続あり。再代襲はなし。)

配偶者は常に相続人になります。

そして相続人として第1順位の子がいるときには、直系尊属にあたる父母や兄弟姉妹は相続人にはなりません。

子がいないときには被相続人の父母がなり、父母もいないときに被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

代襲相続とは?

上の表で「代襲相続」とありましたので、代襲相続について説明します。

代襲相続とは、被相続人の死亡時点で、例えば既に子が亡くなっていたときには直系尊属ではなく、子の子(被相続人の孫)が相続をすることになりますが、これを代襲相続と言います

被相続人の相続発生時点で孫も亡くなっていたときには、ひ孫が相続します(再代襲)。

兄弟姉妹の場合には代襲相続はありますが、再代襲をすることはありません。

相続人の法定相続分は?

各相続人の相続分は下の表のようになります。

相続人 配偶者 直系尊属 兄弟姉妹
配偶者と子 1/2 1/2
配偶者と直系尊属 2/3 1/3
配偶者と兄弟姉妹 3/4 1/4

配偶者、つまり夫または妻は、必ず相続人になります。また例えば子が2名以上いる場合の法定相続分は均等に分割します。

具体的には配偶者1名、子が2名いる場合、子の相続分は

1/2×1/2=1/4

になります。

遺留分とは?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限保証された相続分のことです。

兄弟姉妹を除く相続人には、被相続人から最低でも承継できる相続分(遺留分)があります。

愛人に遺留分はありません。なぜなら相続人ではないからです。

具体的な遺留分の計算の仕方

既に説明したように遺留分とは最低限保証された相続分のことですが、この遺留分は被相続人の直系尊属だけが相続人の場合は遺産の3分の1、その他の場合(配偶者や子が相続人の場合)には2分の1となります。

遺留分について、具体的に確認します。

遺留分の計算例
父が亡くなり、妻と子の2名が相続人の場合、遺産総額は2億円だとします。なお、妻と子が相続人の場合の法定相続分は各1/2です。

遺留分額
妻 2億円×1/2(法定相続割合)×1/2(遺留分割合)=5000万円
子 2億円×1/2(法定相続割合)×1/2(遺留分割合)=5000万円
∴ 妻と子の遺留分は5000万円

具体的な遺留分は、法定相続分の割合に遺留分割合を乗じて計算します。したがって、妻と子の具体的な遺留分は次のようになります。

妻=1/2(法定相続割合)×1/2(遺留分割合)=1/4

子=1/2(法定相続割合)×1/2(遺留分割合)=1/4

相続税の改正によって基礎控除額が引下げ

相続税の改正で、基礎控除額が以下のように引下げられました。

改正前
基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

改正後
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が配偶者1名、子が2名の場合の基礎控除額は

4,800万円=3,000万円+600万円×法定相続人3名

になります。

正味遺産総額が基礎控除額以上であれば、相続税の申告が必要です。

【ステップ1】具体例で優しくわかる相続税の計算の仕方

相続税の改正によって税率が上昇

相続税の税率は以下の図のように変更になります。下の図は国税庁webサイトより抜粋したものです。

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上の図を見ればわかるように6億円を超える場合、最高税率は55%に引き上げられています。

ただ、なかなか6億円超の資産をお持ちの方は少ないかもしれません。

税率の変更の影響を受けるのは少数の大資産家だけかもしれませんが、基礎控除の引下げの影響を受ける方は多くなるはず。

せっかくなので、日本以外の国の相続税率がどれくらいかを確認します。以下のリンク先ではアジアの国々の相続税と贈与税の一覧を掲載しています。

アジアの国々の相続税・贈与税率まとめ