日本の相続税は最高で55%です。この相続税率の高さについてはご存知の方が多いはず。三代にわたって相続が続けば財産が80%減少して約20%になると言われる所以です。
これほど日本の相続税率が高いので、他のアジアの国々の相続税率が気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで今回はアジアの相続税について紹介します。日本も2015年以降、改正相続税が施行されましたが、アジアの国々の相続税と贈与税について確認してみましょう。
アジア各国の相続税・贈与税について一覧にしてまとめてみました。
目次
アジアの国々の相続税と贈与税一覧
アジアの国々の相続税と贈与税をまとめると下の表のようになりました。
– | 相続税 | 贈与税 |
日本 | 55% | 55% |
台湾 | 20% | 20% |
韓国 | 50% | 50% |
中国 | 無 | 無 |
香港 | 無 | 無 |
シンガポール | 無 | 無 |
マレーシア | 無 | 無 |
インドネシア | 無 | 無 |
インド ※ | 無 | 無 |
日本以外は2013年現在
※ただし2011年のもの
アジア各国の相続税と贈与税が一目瞭然です。
このアジアの国の相続税と贈与税を確認すると、相続税率の高いか低いかもさることながら、相続税も贈与税の制度もない国が意外に多いこともわかります。
相続税と贈与税のない国の方が多いことがわかりましたが、下では中国とインドの最近の相続税の情報について見てみます。
中国やインドで、相続税が導入されるかもしれない
最近、中国で相続税が導入されるという情報が流れました。情報の真偽は定かではありませんが、実際に中国で相続税が導入されることになれば中国マネーが海外に流れると予想されます。もちろん相続税を回避するためです。資金を海外に分散させる以外の方法としては、相続税のない国や相続税の低い国に移民となって国籍を変更することが考えられます。
実は中国に限らず、インドでも相続税が28年ぶりに復活するという報道もあります。
中国もインドも貧富の格差が激しいので、その格差を是正する狙いが相続税導入の根底にあると言われています。
さて日本ですが、既にご存じのように2015年から相続税と贈与税は改正になっており、最高税率は55%に上昇しています。
日本の税収も減少していることに加え、既に高齢化社会に突入したので税収を確保する狙いがあることは当然。
2014年に相続が発生するか、2015年になって相続が発生するかは偶然性に左右されますが、その偶然性によって支払う相続税に相当な影響が生じてきます。
※ 表中の韓国と台湾に関しては最高税率を記載しています。韓国と台湾の相続・贈与税率は日本と同様に累進課税です。
タイの相続税
リンク先でもお伝えしていますが、タイに住んでいる日本人はとても多いのは有名なお話し。
そのタイでは2016年2月1日から相続税を導入されました。1億バーツ超の相続税課税対象資産を相続した相続人は10%で、相続人が直系尊属または直系卑属の場合には、5%の相続税が課税されます。
そして相続税の対象となる資産は次のとおりです。
・不動産
・タイの有価証券取引法で定義された有価証券
・被相続人が引き出す権利を有していた預金等
・登録自動車
そしてタイで相続税の課税対象者は(1)タイ国籍を持つ者、(2)タイ国内に移民法に基づく住居を持つ外国人、(3)タイ国内の財産を相続する外国人です。
またタイでは贈与税もあります。
贈与税は一律5%ですが、個人の所得税に含めて納税することもできます。所得税は累進課税で最高35%です。
タイでは相続税も贈与税もありますが、日本の最高税率と比較するととても低い税率となっています。
ベトナムの相続税
近年、ベトナムに出張で訪問する方は多くなっているはず。特に、IT関係者はベトナム出張は多いのではないでしょうか。
そのベトナムでも相続税はあります。
ベトナムの相続税は居住者・非居住者ともに「1,000万ドン超に対し10%」。
為替のイメージは1VND ≒ 0.005 JPYです。
アラブ首長国連邦の相続税
相続税においてアジアというと、どうしても東南アジアをイメージしがちのはずですが、UAEもアジアです。
ですが、アラブ首長国連邦に相続税制度はありません。遺言状のない相続についてはイスラム聖法(Islamic Sharia’a principles)に基づいて対処されます。
イランの相続税
イランの相続税は最高税率65%です。日本の相続税よりも10%高くなっています。
フィリピンの相続税
フィリピンの相続税は一律で6%です。
以上、アジアの国々の相続税についてご紹介しました。実際にアジアの国への移住を検討する際には、税制について事前に専門家に相談することをお勧めします。