税金対策の1つとして、海外移住を考えている方も多いはず。もちろん、相続税対策として実際に海外へ移住した方もいらっしゃいます。
確かに日本の相続税の最高税率は55%ですので、相続税のない国へ移住するという動機を持つ方もいらっしゃるでしょう。
または子の教育のために海外移住をするという方もいらっしゃるはず。
ここでは海外に移住している人数の推移や、地域別ランキング、都市別ランキングについて紹介します。
海外移住に興味のある方は、是非、ご一読ください。
目次
海外移住者の推移
まず平成1年度から平成29年までの約30年間の海外移住者の推移を確認します。
グローバル化やボーダレスの影響があるのはもちろんですが、全体としては長期滞在者と永住者はともに増加傾向にあることがわかります。
平成元年の長期滞在者と永住者の合計は約60万人でしたが、平成29年には約135万人になっていて、2倍以上になっています。
海外に移住する理由としては、仕事や税金対策、子育て、研究目的など様々な理由が考えられますが、今後も海外移住者は増加傾向にあることはこのグラフを見ても容易に想像できます。
※ グラフは外務省が公表している海外在留邦人数調査統計(平成30年)から作成しています。
海外移住者の国別ランキング
次に国別の海外移住者ランキングです。人数は永住者と長期滞在者の合計人数(平成29年)です。
順位 | 国名 | 人数 |
1 | アメリカ | 426,206 |
2 | 中国 | 124,162 |
3 | オーストラリア | 97,223 |
4 | タイ | 72,754 |
5 | カナダ | 70,025 |
6 | 英国 | 62,887 |
7 | ブラジル | 52,426 |
8 | ドイツ | 45,784 |
9 | フランス | 42,712 |
10 | 韓国 | 39,778 |
このグラフからは読み取れないのですが、外務省が公表している資料に目を通すとタイとオーストラリアの平成22年以降の前年比伸び率が約5%前後で推移していて、他の国に比べると高い伸び率になっています。
因みに、中国は前年比で平成25年から5年連続のマイナスです。
※ ランキングは外務省が公表している海外在留邦人数調査統計(平成30年)から作成しています。
国別では、「米国」に在留邦人全体の約32%(42万6,206人)、「中国」に約9.2%(12万4,162人)がそれぞれ在留していて、両国で在留邦人の4割以上を占めています。
増加傾向にあった中国では、平成24年をピークに在留邦人の減少が続いています(前年比で平成25年は約10%, 26年は約0.9%, 27年は約2.0%, 28年は約2.3%, 29年は約3.1%減少)。(海外在留邦人数調査統計から抜粋)
海外移住者の都市別ランキング
次に海外移住者がどこの都市に住んでいるかを示すランキングです(平成29年10月1日現在)。
順位 | 都市 | 人数 |
1 | ロサンゼルス都市圏 | 68,744 |
2 | バンコク | 52,871 |
3 | ニューヨーク都市圏 | 46,137 |
4 | 上海 | 43,455 |
5 | シンガポール | 36,423 |
6 | 大ロンドン市 | 34,298 |
7 | シドニー都市圏 | 32,189 |
8 | バンクーバー都市圏 | 26,910 |
9 | 香港 | 25,004 |
10 | メルボルン | 19,878 |
アジアですと、相続税のない香港とシンガポールに住んでいる邦人が多いようなイメージがありますが、実際はバンコクに住んでいる邦人が多い。
バンコクに住んでいる日本人は、シンガポールの約2倍の数です。確かにシンガポールは相続税がないことで有名ですが、物価を考えるとシンガポールよりもバンコクの方が住みやすいかもしれません。
タイの相続税についてはリンク先で簡単に紹介しています。
アメリカ・中国以外にはオーストラリアの2都市がランクインしていて、オーストラリアは相続税がない国として知られていますね。
※ ランキングは外務省が公表している海外在留邦人数調査統計(平成30年)から作成しています。
長期滞在者の職業別構成
最後に北米、アジア、大洋州(オーストラリアなど)の長期滞在者がどんな職業かを示しているグラフです(外務省が公表している海外在留邦人数調査統計から抜粋)。
目立つのは、北米の留学・研究と大洋州の留学・研究。確かに北米とオーストラリアへ留学・研究で行っている方は多い印象があります。
もう1つ目立つのは、「その他」という項目。「その他」に着目すると、アジア5万人超、北米4万人弱、大洋州1万5千人超。その他には「移住」が含まれているはず。そう考えると、アジアに移住している人は多いと予想できます。
アジアに移住している日本人は多いと考えた場合には、その土地の税金は当然に気になるところではないでしょうか。
香港とシンガポールに相続税はないことは有名ですが、その他の国でも相続税・贈与税もない国が意外に多いようです。
アジアの国の相続税と贈与税のついては次のリンク先で説明しています。ご興味のある方はご一読ください。