【ステップ3】具体例で優しくわかる相続税の計算の仕方

相続税の計算の仕方ステップ2までは既に説明しましたので、今回は相続税の計算の仕方のステップ3です。

各相続人が実際に負担する相続税は3つのステップを踏んで計算することは既にお伝えした通りですが、今回のステップ3を以って相続税計算は完結することになります。

相続税の計算の仕方ステップ2はリンク先で確認できます。

【ステップ2】具体例で優しくわかる相続税の計算の仕方

   目次

相続税額計算の全体像と流れ

木を見る前に森を見るということで、まずは相続税額計算の全体像を確認します。

STEP.1
課税価格の合計額の計算
資産から負債を差し引いて課税遺産総額を求める
STEP.2
相続税総額の計算
課税遺産総額を基に相続人全員が納付する相続税の総額を求める
STEP.3
各相続人の相続税の計算
ステップ2を基に各相続人が実際に納付すべき相続税を求める

今回はこのステップ3の各相続人の相続税の納付額の計算を説明します。

相続税の計算ステップ3.各相続人の相続税の納付額の計算

まずは各相続人ごとの相続税の納付額の計算の流れを確認し、その後、具体例を通じて説明します。

STEP3.1
各相続人の算出税額の計算
実際の相続分に基づいて各相続人の税額を計算する。
STEP3.2
2割加算や税額控除の税務調整
相続税額の2割加算や配偶者控除等の税額軽減等で加減する。
STEP3.3
各相続人が納付する相続税額の計算
実際に相続人が納付する相続税額を計算する。

各相続人ごとの相続税の納付額の計算の具体例

具体例を使ってステップ3を説明します。

前提
相続人は妻、長女、次女の3名
相続財産の合計額:4億円
非課税財産:2,500万円
債務・葬式費用:5,500万円
∴正味の遺産総額(合計3億2,000万円)

各相続人の相続分は次の通り。
妻:2億
長女(25歳):7,000万円
次女(18歳):5,000万円

ステップ3.1 各相続人の算出税額の計算

ステップ3.1では、“各相続人ごとの算出相続税額を計算”します。これは相続税額の総額を各相続人が実際に取得した相続財産で按分して計算します。

ステップ2で説明したように、算出した相続税の総額は6,420万円(※)でした。

※相続税総額の詳細については、ステップ2をご確認ください。

【ステップ2】具体例で優しくわかる相続税の計算の仕方

各相続人の算出税額
妻の算出相続税:6,420万円×2億/3億2,000万円=4012.5万円
長女の算出相続税:6,420万円×7,000万円/3億2,000万円≒1,404.3万円
次女の算出相続税:6,420万円×5,000万円/3億2,000万円≒1,003.1万円

ステップ3.2 2割加算や税額控除の税務調整

ステップ3.2では、“2割加算や税額控除の税務調整”をします。

2割加算や税額控除の詳細については、リンク先の記事で確認できます。

【要確認】相続税が2割増しになる相続人の一覧

【まとめ】相続税を減額する7つの控除項目は?

ステップ3.3 各相続人の相続税の計算

ステップ3.3では“各相続人が実際に納付する相続税”を算出します。

妻の場合は、配偶者の税額軽減を利用するとします。

妻の実際の納付税額
算出相続税額(4012.5万円)ー4012.5万円=0円

妻は配偶者の税額軽減を利用するため、最終的に妻が納付する相続税は0円になります。

相続税対策!配偶者の税額軽減を利用するメリットと盲点(配偶者控除)

長女の場合は相続税の2割加算等の税務調整はないため、算出相続税額(1,404.3万円)がそのまま納税額となります。

【要確認】相続税が2割増しになる相続人の一覧

次女は未成年者のた算出相続税額から未成年者控除分を差し引くことになります。

次女の実際の納付税額
983万円=算出相続税額(1,003.1万円)ー20万円(10万円×(20歳ー18歳))

相続税の計算の仕方ステップ1からステップ3を通じて、実際に納付する相続税の計算の流れはイメージして頂けたかと思います。

実際に相続税を計算する場合は、他の条件などが加わりますので、計算はもっと複雑になります。

MEMO
相続税の計算の仕方ステップ1からステップ3を読んで既に感じられたかもしれませんが、相続税を算出するときの要であり、肝となるのは相続財産の“評価”です。相続財産をどのように評価するかで(相続財産がどのように評価されるかで)、相続税がかなり影響を受けます。現金預金の評価は簡単で誰でも容易に評価することができます。しかし不動産の評価や、変形した土地(実際、長方形や正方形の土地は少ない)、未公開株等の評価はとても難しく、専門的な知識と技術が必要になります。評価については税理士等の専門家にご相談することをお勧めします。