【まとめ】相続開始後に必要な銀行別の手続きと必要提出書類一覧

相続が開始すると亡くなられた方の現金預金も相続財産として相続対象になり、相続手続きが完了するまでは、原則としてその口座から入出金などの取引が出来なくなります。また相続開始後は銀行に相続があったことを申し出たうえで必要書類を準備し、銀行に提出する必要もあります。

ここでは相続開始後に必要となる銀行口座に関連した手続きについて、例えば、預金の払い戻しなど、銀行別(メガバンク別)に必要な書類や手続きについて説明します。

相続開始後、被相続人名義の口座から預金を引き出し自分のために消費すれば法定単純承認になり、相続放棄等ができなくなるので注意が必要です。

【要注意】法定単純承認とは?相続放棄できなくなる3つの高リスク

   目次

相続開始後に必要な銀行預金の払戻手続き

預金口座の名義人が亡くなった場合、相続人(遺言執行者いればその遺言執行者)が預金の払戻し手続を行う必要がありますが、この手続きの流れは基本的にどこの銀行も同じ流れで、おおよそ次のようなイメージになります。

STEP.1
手続きの申し出
まずは口座名義人が亡くなったことを銀行に申し出ます。
STEP.2
必要書類の準備
次に亡き口座名義人の口座から払戻をうけるための書類を準備します。詳細は、後ほど説明します。
STEP.3
書類の提出
必要書類の準備が終わったら、銀行にその書類を提出します。
STEP.4
口座預金の払戻
銀行へ書類提出後、口座から預金の払戻を受けることになります。

いずれの銀行においても、このような流れで被相続人名義の銀行口座から払戻を受けることになります。

相続開始後に必要な三菱UFJ銀行への手続きと必要書類

それではさっそく相続開始後に必要な三菱UFJ銀行へ提出する必要書類について確認してみます。

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合の必要書類

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
・相続届(銀行から入手する)
・遺産分割協議書
・戸籍謄本等
・法定相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

作成すべき遺産分割協議書については以下のリンク先で詳しく解説しています。

【雛形付】遺産分割協議書の書き方と相続手続で失敗しないための10の秘訣

戸籍謄本等については、亡き口座名義人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等と法定相続人の方を確認できるすべての戸籍謄本等が必要です。

ただ法定相続情報一覧図を提出すると戸籍謄本等の提出は原則不要で、これは三菱UFJ銀行に限らず他行でも同様に提出不要となります。

法定相続情報証明制度とは?メリットと相続登記に役立つ利用のコツ

法定相続情報一覧図は、相続登記申請の際に法務局から取得しておくことをお勧めします。

遺言書がある場合に提出する必要書類

遺言書がある場合
・相続届(銀行から入手する)
・遺言書
・戸籍謄本等
・受遺者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

遺言書が公正証書遺言ではないときには、家庭裁判所の検認済証明書も必要です。

検認とは、家庭裁判所が自筆遺言書の内容等を確認する手続きのことです。自筆証書遺言については相続開始後に検認手続きを受ける必要があります。

【改正対応】自筆証書遺言と公正証書遺言の作成ポイント

共同相続の場合の必要書類

ここでいう共同相続とは、遺言書も遺産分割協議書もなく法定相続人で法定相続分に従って相続する場合のことです。

共同相続の場合
・相続届(銀行から入手する)
・戸籍謄本等
・法定相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

戸籍謄本等については、亡き口座名義人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等と法定相続人の方を確認できるすべての戸籍謄本等が必要ですが、既にお伝えしたように、法定相続情報一覧図を提出すると戸籍謄本等の提出は原則として省略できます。

いずれのケースでも三菱UFJ銀行は、相続届、印鑑証明書、戸籍謄本等(省略できる場合あり)、キャッシュカードまたは通帳等は必須の提出書類です。

相続開始後に必要な三井住友銀行への手続きと必要書類

次に相続開始後に三井住友銀行へ提出する必要書類について確認してみます。

遺言書がなく遺産分割協議書がある場合

まずは相続開始後、遺言書がなく遺産分割協議書がある場合に三井住友銀行へ提出する必要書類を確認します。

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
・相続に関する依頼書(銀行から入手する)
・遺産分割協議書
・戸籍謄本等
・相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・銀行手続きをする人の実印
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

戸籍謄本等については、亡き口座名義人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等と法定相続人の方を確認できるすべての戸籍謄本等が必要ですが、法定相続情報一覧図を提出すると省略できます。この点も既に説明したとおりです。

遺言書がある場合

遺言書がある場合
・相続に関する依頼書(銀行から入手する)
・遺言書
・戸籍謄本等
・受遺者(預金等の払戻をうける方)の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・受遺者(預金等の払戻をうける方)の実印
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

遺言書については、公正証書遺言についてはその謄本を、自筆証書遺言については家庭裁判所の検認済証明書も必要です。

共同相続の場合

最後に、遺言書も遺産分割協議書もない、共同相続の場合に三井住友銀行へ提出する書類を確認します。

遺言書がある場合
・相続に関する依頼書(銀行から入手する)
・戸籍謄本等
・相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・実際に銀行手続きをする人の実印
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

戸籍謄本等については、亡き口座名義人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等と法定相続人の方を確認できるすべての戸籍謄本等が必要ですが、法定相続情報一覧図を提出すると省略できることは他のケースの場合と同様です。

相続開始後に必要なみずほ銀行への手続きと必要書類

相続開始後にメガバンクへ提出する必要書類について確認してきましたが、メガバンクの最後はみずほ銀行に提出する必要書類の確認です。

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合

遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
・相続関係届出書(銀行から入手する)
・遺産分割協議書
・戸籍謄本等
・相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・相続人(預金等の払戻をうける方)の実印・取引印
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

みずほ銀行の場合には、亡き口座名義人の戸籍謄本は「16歳の誕生日以降、亡くなられた時」までの戸籍謄本でも構わないのですが、他行でも銀行手続きをすることを考えると、出生からの戸籍謄本を入手しておいた方が良いでしょう。

遺言書がある場合

被相続人が遺言書を作成していた場合には、次の書類が必要になります。

遺言書がある場合
・相続関係届出書(銀行から入手する)
・遺言書
・戸籍謄本等
・受遺者(預金等の払戻をうける方)の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・受遺者(預金等の払戻をうける方)の実印・取引印
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

他の銀行の場合と同様に、自筆証書遺言を提出する場合には家庭裁判所の検認済証明書も必要です。

共同相続の場合

被相続人が遺言書を作成していなかった場合や、相続人全員で遺産分割協議をしなかった場合には共同相続となりますが、そうした場合にはみずほ銀行に次の書類を提出して払戻を受けることになります。

共同相続の場合
・相続関係届出書(銀行から入手する)
・戸籍謄本等
・相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
・預金等の払戻をうける方の実印・取引印
・通帳、キャッシュカード、または貸金庫のカギ

まとめ:相続開始後の銀行手続き

以上、ここまで銀行別に相続開始後に必要な手続きと必要書類について説明してきました。

ここまで読んで頂ければほとんどの方が気が付くと思いますが、相続開始後に銀行へ提出する書類は(銀行は違えど)ほぼ同じです(遺言書の有無、遺産分割協議の有無で多少違う程度です)。

したがって、銀行で被相続人名義の口座から払戻手続きをする場合には、戸籍謄本等、印鑑証明書、通帳等は事前に準備しておくと手続きがスムーズに進みます。

注意
遺言書がある場合には、遺言書の内容によって提出しなければならない印鑑証明書と戸籍謄本等の範囲が異なります。遺言書がある場合には、口座開設銀行に事前に確認することをお勧めします。

また相続開始後の銀行手続きを簡略化するためのポイントは、相続登記の際に法務局から法定相続情報一覧図を取得しておくという点です。

法務局から法定情報一覧図を取得しておけば、戸籍謄本等の提出は原則として省略できますので、銀行手続きの負担はかなり軽くなります。

【図解】相続登記の必要書類と間違いやすい書類

法定相続情報証明制度とは?メリットと相続登記に役立つ利用のコツ