身内の相続はそれほど頻繁に発生することでもないため、相続開始から相続税の申告や相続登記、名義変更などの各種手続きの流れを熟知している方は少ないはず。
被相続人が亡くなり、相続が開始すると相続税の申告や、不動産登記の名義変更、その他銀行への手続きなど様々な手続きをする必要があります。
ここでは相続開始後に必要な相続手続きの流れを中心に、各種手続きの期限についてお伝えします。
相続開始後に必要な手続きは、なにも相続税の申告や相続登記に限られませんが、ここで相続手続きの流れについてザックリとイメージできるようにしておきましょう。
以下、相続手続きの流れをタイムラインで説明します。
相続手続きの流れ
STEP.1
被相続人の死亡
被相続人の死亡によって相続が開始します。相続の開始と同時に、相続人は被相続人が保有していた資産や負債を承継することになります。また相続が開始すると原則として被相続人名義の銀行口座からは引出しできなくなります。
【まとめ】相続開始後に必要な銀行別の手続きと必要提出書類一覧
STEP.2
死亡届の提出
相続開始から7日以内に死亡届を役所に提出します。提出する際には、死亡診断書又は死体検案書が必要です。
STEP.3
相続人の確定
遺産分割等をする前に、被相続人の戸籍を収集して相続人を確定させる必要があります。
一部の相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効なので要注意です。被相続人によっては認知された子がいる可能性があります。認知された子がいないかどうか、確認することも必要です。代襲相続で、被相続人の孫が相続することもあります。
相続手続きを開始する上での必須知識はリンク先で確認して下さい。
【要確認】相続対策のために絶対知っておきたい7つのキホン
STEP.4
相続財産の調査
被相続人がどのような財産を保有していたのか、またどのような負債を抱えていたのかについて相続財産を調査する必要があります。相続財産を調査する際には、遺言書の有無も合わせて確認します。
相続財産の調査後に、単純承認や、限定承認、または相続放棄をすることになります。この単純承認、限定承認、相続放棄は相続開始後3か月以内にする必要があります。
稀に相続放棄が出来なくなることがあります。相続放棄できなくなる理由についてはリンク先の記事をご確認下さい。
【雛形付】タイムラインでわかる相続放棄の手続きと必要書類一覧
また相続放棄以外にも、限定承認という手続きもあります。限定承認の詳細については次のリンク先をご確認ください。被相続人が抱えていた負債が過大な場合には限定承認が有効です。
【雛形付】タイムラインでわかる限定承認の手続きと必要書類一覧
STEP.5
準確定申告
被相続人の所得税について、準確定申告をします。準確定申告の期限は相続開始から4か月以内です。
STEP.6
遺産分割協議
相続開始3か月以内に単純承認または限定承認したときには、すべての相続人で遺産分割協議をして、だれがどの相続財産を取得するのか協議します。相続人全員で遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書には相続人全員の実印を押印する必要があります。
【雛形付】遺産分割協議書の書き方と相続手続で失敗しないための10の秘訣
STEP.6
相続財産の名義変更
遺産分割協議後、だれがどの相続財産を承継するか確定したときには不動産等の名義変更手続きをします。不動産については、必要書類を作成して登記申請することになります。
【保存版】相続登記の手続きとミスしないための7つの注意点
STEP.7
相続税の申告・納付
相続税を納付する必要があるときには、相続税を申告・納付する必要があります。
相続税の申告期限は相続開始後10か月以内です。
相続税の計算の仕方についてはリンク先で確認できます。
【ステップ1】具体例で優しくわかる相続税の計算の仕方
また例えば、相続財産のほとんどが不動産ばかりのときには相続税を現金納付できないことがあります。そのようなときには一定の要件を満たせば相続税を物納をすることができます。物納についての詳細については次のリンク先をご覧ください。
金銭で支払えない相続税を物納するときの4つの要件
まとめ:主な相続手続きの期限
相続手続きの流れのところでも説明しましたが、確認のため、改めて相続手続きの期限について下の図でまとめてみます。
相続後の手続 |
期限 |
死亡届 |
相続開始から7日以内 |
限定承認・相続放棄等 |
相続開始から3か月以内 |
準確定申告 |
相続開始から4か月以内 |
相続税の申告 |
相続開始から10か月以内 |
相続登記をすることは義務ではありませんが、法務省は土地の相続登記を義務化する方向で検討しています。
ここまでは相続開始後に必要な主な手続きの期限を中心にお伝えしました。ただここで説明した手続き以外にも、死亡届の提出や火葬許可書の入手など相続人が手続きしなければならないことはたくさんあります。その相続人がしなければならない各種手続きについてチェックリスト形式でまとめました。チェックリストを活用すると、各種手続きを忘れることなく、漏れなく申請することができます。ご興味のある方は、次のリンク先をご覧ください。
これで完璧!相続開始後に必要な相続手続きのチェックリスト一覧